病院・医療法人の事業承継でお悩みの方
《個人で病院を開業されている方》
個人事業として病院を開業されている方は、病院等に利用されている土地・建物・医療機器等の個々の財産を承継することになります。
《個人の事業承継》
個人で病院や診療所を開業されている方の事業承継は、原則として院長を交代することによって承継されます。
この院長交代が税務上は事業主の交代となるからです。
その際に、現院長は事業を廃止し、新院長が事業を開始することになります。
そこで問題となるのは、今まで使用していた不動産や医療機器をどうするか?ということです。
土地・建物や医療機器は、現院長が所有している場合が多く、
1.売却する
2.贈与する
3.貸し付ける
のいずれかの方法により後継者(事業主)が使用できるようにする必要があります。
特に、土地・建物については、現院長の相続対策全般を見据えたプランニングが必要となるため、安易に決めるのではなく、専門家と相談して決定することが重要です。
事業承継は早めに手を打とう!
地域の患者さんや病院で働くスタッフとの信頼関係は、長い年月をかけて構築していくことになります。
後継者が決まっている場合は、それぞれの状況がありますが、なるべく早い段階から病院の診療や経営に関わっていくことが大切です。
また、承継対策も早い段階から考えた方が承継問題に関する不安が解消され、安心して病院経営に集中できます。
承継のタイミング
概算経費の特例を活用
年間社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合、概算経費の特例が利用できるため、年の途中で院長交代を行えば、うまく親子ともに概算経費の特例を利用することが可能となります。
小規模企業共済の活用
個人事業として開業している病院・診療所の院長は、会社と異なり事業を廃止した際に退職金を必要経費として計上することができません。
そこで、小規模企業共済に加入することにより、掛金が所得計算上所得控除として取り扱われ、事業廃止時に共済金を受け取った時も退職所得として有利な取り扱いを受けることができます。
【後継者難に悩んでいる方】→こちらをご覧ください
《医療法人を経営されている方》
医療法人を経営されている方は、医療法人に対する出資持分を承継することになります。
この出資持分については、当初の出資額で承継するのではなく、承継時の医療法人の持分評価額で承継することになります。
医療法人の出資持分が課税されるかどうか?
相続財産として課税される医療法人の出資持分は、社団医療法人であり、かつ、持分の定めのある医療法人です。
日本の医療法人のほとんどは、持分の定めのある社団医療法人ですので、ほとんどが課税対象となります。
株式会社との事業承継の相違点
1.剰余金の配当禁止
医療法人では、医療法第54条の規定により、剰余金の配当をしてはならないことになっています。
従って、配当を利用した出資持分の相続対策は実施できないことになります。
また、病院の後継者以外が持分を持った場合、出資持分を持っているだけではメリットがないため、後述する払戻請求権を行使され、多額のキャッシュを医療法人から支払わなければならない可能性があります。
2.出資者に対する払戻請求権
社団医療法人の大半の定款には、「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる」とあります。
つまり、出資者に払戻請求権が付与されているケースが多く、内部留保利益の大きい医療法人だと、払戻請求権の行使により病院経営が危うくなるほどのキャッシュアウトが発生する場合があります。
経営者以外にも出資者がいる場合、事業承継の際に他の出資者の払戻請求権について留意する必要があります。
3.議決権
株式会社の場合は持分に応じて議決権が付与されますが、医療法人の場合は出資持分の割合にかかわらず、社員一人につき1票の議決権が付与されます。
出資持分がいくら多くても議決権が多いことにはならないため、社員の議決権政策には留意する必要があります。
事業承継手続 個人事業との比較
個人病院において事業承継手続を行う際には、保健所への病院開設届や社会保険事務所への保険医療機関指定申請書等を始め多数の書類を作成し、届け出なければなりません。
これに対して、医療法人の場合は、理事長の交代を行うだけでよいので比較的簡単に承継することができます。
医療法人の節税対策
役員退職金の利用
役員退職金は、出資持分の評価額を下げるために有効的です。
但し、過大な役員退職金は法人税法上否認される場合がありますので、留意する必要があります。
相続時精算課税制度の利用
相続時精算課税制度とは、一定の要件を満たした贈与については、贈与時に課税するのではなく、相続時にまとめて課税する制度です。
この方法については、相続時に課税が発生しないことがわかっている場合の贈与について利用することが効果的です。
医療法人設立の相続対策上のメリット
後継者の出資割合を多くすることで、相続の際の課税財産の移転が前倒しで可能となります。
医療法人設立後、個人所有の土地・建物を医療法人に賃貸することで、土地・建物の評価額を下げることが可能となります。
出資持分移転のチャンス
毎期安定した利益を獲得している医療法人は、なるべく早めに出資持分の移転を実行すべきです。
なぜなら、配当禁止のため留保利益が積み上がってからでは出資持分の評価額が高くなってしまい、移転対策のネックとなります
大型経費計上後のタイミングで移転すると効果的です。
例えば、役員退職金の計上、大型設備投資後の減価償却費増加のタイミングが考えられます。
後継者難に悩んでいる方
後継者が現在いらっしゃらない方については、次の4通りのシナリオが考えられます。
1.後継者として病院又は医療法人内部で親族以外の者を抜擢する
2.外部の第三者に事業を売却する
3.他の病院又は医療法人と統合(合併)する
4.事業を廃止する
事業継続を望まれるのであれば、1〜4の方法を選択することになり、従業員の方や長年通ってくれた患者さんのことを思うと、事業継続を望まれる方が多いと思われます。
1~4は、いずれの方法によっても親族以外の第三者に事業を売却するという点では変わりません。
親族以外の第三者との事業売却又は合併取引は、売り手にとっても買い手にとっても決して軽く扱える案件ではなく、慎重に手続きを進めることになります。
この時に、売り手と買い手の当事者同士で合意に至ればいいですが、株式会社のM&A取引に見られるように、客観的な専門的な第三者がアドバイザーとして案件をコントロールし、完了までの手続きをサポートした方が、案件の成立する確立がグンと上がります。
後継者難で悩まれている方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。




